糸谷哲郎(いとだに・てつろう)|タイトル獲得の記録・今期の成績・次のタイトル戦の対局日程

糸谷哲郎
名人戦の挑戦者

糸谷哲郎(いとだに・てつろう)さんは、2026年春の第84期名人戦で藤井聡太名人に挑戦した九段の棋士です。2014年に竜王を獲得した実績があり、大阪大学の大学院で哲学を研究した棋士としても知られます。前の期のA級順位戦をプレーオフの末に1位で抜け、初めて名人戦の舞台に立ちました。

※タイトルの期数・段位・今年度の成績は、日本将棋連盟の棋士データベースの表示(2026年10月16日に確認)によります。対局の勝敗だけを載せ、棋譜や対局の内容は載せません。

プロフィール

生年月日 1988年10月5日(38歳)
出身地 広島県広島市
師匠 森信雄七段
棋士番号 260
プロ入り(四段) 2006年4月1日(17歳)
段位 九段(2026年4月16日、八段になってから公式戦250勝で昇段)
タイトル獲得 竜王 1期(第27期・2014年度)
棋戦優勝 新人王戦 1回(第37期・2006年度)
学歴 大阪大学文学部卒業、同大学院文学研究科(博士前期課程)修了
所属 竜王戦3組・順位戦A級(通算6期)

広島市の生まれで、1998年に奨励会に入りました。2005年度後期の三段リーグを14勝4敗の1位で抜け、中村太地さんと同時に2006年4月1日付でプロになっています。広島学院中学・高校から大阪大学文学部に進み、大学院ではドイツの哲学者ハイデッガーを研究して、2017年3月に修士の学位を得ました。棋士として対局を続けながらの学業でした。

タイトル獲得の歴史

初めてのタイトル戦は、2014年の第27期竜王戦です。挑戦者決定三番勝負で羽生善治さんに勝ち、七番勝負では森内俊之竜王を4勝1敗で破って、初挑戦で竜王になりました。

時期 棋戦 相手 結果
2014年10月〜12月 第27期竜王戦 森内俊之竜王 4勝1敗で獲得
2015年 第28期竜王戦 渡辺明棋王 1勝4敗で失冠
2016年 第64期王座戦 羽生善治王座 0勝3敗
2021年2月〜3月 第46期棋王戦 渡辺明棋王 1勝3敗
2026年4月〜5月 第84期名人戦 藤井聡太名人 0勝4敗

タイトル戦の登場は、連盟の棋士データベースで合計5回です。棋王戦では第1局に勝って先行しましたが、その後3連敗でした。

2026年度の主な成績

名人戦の挑戦権は、第84期順位戦A級(2025年度)を7勝2敗で終え、同じ成績の永瀬拓矢九段とのプレーオフに勝ってつかみました。2026年4月8日・9日の第1局は八段として指し、4月16日に九段に昇段してからは九段として対局しています。第1局で糸谷さんが指した初手の「1六歩」(端の歩を突く手)は、名人戦の歴史で初めての初手だと報じられました。

棋戦 時期 結果
第84期名人戦七番勝負 2026年4月〜5月 藤井聡太名人に0勝4敗
第85期順位戦A級 2026年度 3局を終えて0勝3敗(広瀬章人九段・近藤誠也八段・豊島将之九段に敗れる)

連盟の棋士データベースでは、2026年度の成績は6勝13敗(10月16日時点)です。名人戦の4局と、A級の3局がこの数に含まれます。A級順位戦は10人の総当たりで、下位の2人がB級1組に下がります。残りは6局です。

第85期順位戦A級の勝敗(10月16日時点)

順位 棋士 勝敗
1 糸谷哲郎九段 0勝3敗
2 永瀬拓矢九段 3勝0敗
3 豊島将之九段 4勝0敗
4 近藤誠也八段 2勝2敗
5 増田康宏八段 3勝1敗
6 佐々木勇気八段 2勝2敗
7 千田翔太八段 0勝3敗
8 佐藤天彦九段 1勝2敗
9 広瀬章人九段 2勝1敗
10 伊藤匠二冠 0勝3敗

日本将棋連盟の順位戦の表をもとに作成。「順位」は、前の期の成績で決まる期のはじめの序列です。A級は10人の総当たり(1人9局)で、2027年3月まで続きます。1位が名人への挑戦者になり、1位が並んだときはプレーオフで決めます。下位の2人はB級1組に下がり、同じ勝ち数なら順位が下の棋士が下がります。

次の対局とタイトル戦の日程

2026年10月16日時点で、糸谷さんが出場を決めているタイトル戦の番勝負はありません。当面の中心はA級順位戦で、千田翔太八段・永瀬拓矢九段・増田康宏八段・伊藤匠二冠・佐々木勇気八段・佐藤天彦九段との対局が残っています。A級で1位になると、2027年春の第85期名人戦で、再び藤井名人に挑戦します。

ほかのタイトル戦の予選も並行して進みます。挑戦者が決まると、各タイトル戦のページ(竜王戦・王将戦・棋王戦など)に、対局日と会場を載せます。大盤解説会の申し込み方は、タイトル戦の観戦の基本にまとめています。

あゆみ(年表)

年月 できごと
1998年 奨励会に入会(6級)
2006年4月 四段(プロ入り)。中村太地さんと同時の昇段
2006年度 第37期新人王戦で優勝。将棋大賞の新人賞・連勝賞
2007年 大阪大学文学部に入学
2014年12月 第27期竜王戦で竜王を獲得し、八段に昇段
2014年度 将棋大賞の優秀棋士賞
2017年3月 大阪大学大学院で修士(文学)の学位
2025年度末 第84期順位戦A級でプレーオフを制し、名人挑戦を決める
2026年4月 九段に昇段。名人戦七番勝負に初登場

竜王を獲得して八段になったのは、連盟の昇段の決まり(竜王1期で八段)によるものです。そこから公式戦で250勝を重ね、2026年4月に九段になりました。

棋風・得意な戦法

居飛車を主に指し、角換わり・横歩取り・雁木を得意にしています。振り飛車への対策として「糸谷流右玉」と呼ばれる指し方を形にしたことでも知られます。持ち時間を使い切らずに指す早指しが持ち味で、順位戦では持ち時間を2時間以上残して勝つこともあるほどです。

  • 「怪物」という呼び名は、2006年5月のデビュー戦で糸谷さんに敗れた橋本崇載さんが「怪物だ!」と声をあげたことから広まったとされています。
  • ファンや報道では「ダニー」の愛称でも呼ばれています。
  • 師匠の森信雄七段は、和服の似合う個性のある棋士だと評しています。

本人がインタビューなどで語っている趣味は、読書(推理小説を好み、好きな作家は麻耶雄嵩さん)や、カードゲーム・オセロです。猫が好きで、ロシアンブルーを飼っていることも話しています。

よくある質問

糸谷哲郎さんが獲得したタイトルは何ですか?

2014年度の第27期竜王です。初めてのタイトル戦で、森内俊之竜王を4勝1敗で破りました。翌年の第28期竜王戦で渡辺明さんに敗れ、竜王を失っています。

名人戦の初手「1六歩」が話題になったのは、なぜですか?

端の歩を1マス進める手で、序盤の第一手としては珍しい手だからです。名人戦の七番勝負で初手に指されたのは、これが初めてだと報じられました。

大学院では何を学んでいたのですか?

大阪大学大学院の文学研究科で、哲学者ハイデッガーを研究していました。2017年3月に修士の学位を得ています。

2026年度のA級順位戦の成績は?

10月16日時点で0勝3敗です。A級は2027年3月まで続き、残りの6局で順位が決まります。

「怪物」と呼ばれるのは、なぜですか?

2006年5月のデビュー戦で糸谷さんに敗れた橋本崇載さんが、その強さに「怪物だ!」と声をあげたことがきっかけとされています。いまも将棋ファンの間で使われる呼び名です。

竜王戦では、いまどの組にいますか?

2026年10月16日時点で、竜王戦は3組です。1組以上には通算7期在籍してきました。竜王戦は下の組からでも挑戦できる仕組みで、糸谷さんも組の優勝から決勝トーナメントに進む道があります。

参考にした情報

  • 日本将棋連盟 棋士データベース「糸谷哲郎」
  • 日本将棋連盟 棋戦情報(順位戦A級)
  • ウィキペディア「糸谷哲郎」「名人戦 (将棋)」

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