王座戦の挑戦者
広瀬章人(ひろせ・あきひと)さんは、第74期王座戦で伊藤匠王座に挑戦している九段の棋士です。これまでに王位と竜王を1期ずつ獲得し、順位戦A級に通算11期在籍しているベテランです。2026年度の王座戦では、挑戦者決定戦で藤井聡太六冠に勝って挑戦権をつかみました。五番勝負は2勝2敗となり、10月27日の第5局で決着します。
※タイトルの期数・段位・今年度の成績は、日本将棋連盟の棋士データベースの表示(2026年10月16日に確認)によります。対局の勝敗だけを載せ、棋譜や対局の内容は載せません。
プロフィール
| 生年月日 | 1987年1月18日(39歳) |
| 出身地 | 北海道札幌市(連盟の表記) |
| 師匠 | 勝浦修九段 |
| 棋士番号 | 255 |
| プロ入り(四段) | 2005年4月1日(18歳) |
| 段位 | 九段(2023年11月16日に昇段) |
| タイトル獲得 | 通算2期(王位1期・竜王1期) |
| 棋戦優勝 | 新人王戦 1回(第40期・2009年) |
| 所属 | 竜王戦1組(1組以上7期)・順位戦A級(通算11期) |
アマチュアの強豪だった父と兄の影響で、4歳ごろから将棋に親しみました。生まれは東京都で、育ったのは埼玉県さいたま市ですが、小学3年から6年まで父の転勤で札幌市に住み、地元の将棋クラブで力をつけました。連盟の出身地の表記が札幌市なのは、このためです。小学6年で奨励会に入り、高校1年で三段リーグへ。2004年度後期の三段リーグを15勝3敗の1位で抜け、2005年4月1日にプロになりました。プロ入り後に早稲田大学教育学部へ進んでいます。
タイトル獲得の歴史
23歳だった2010年、第51期王位戦で深浦康市王位を4勝2敗で破り、初タイトルを獲得しました。この年は挑戦者決定戦で羽生善治名人(当時)にも勝っています。2018年には第31期竜王戦で羽生善治竜王を4勝3敗で破り、竜王になりました。
| 時期 | 棋戦 | 相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2010年 | 第51期王位戦 | 深浦康市王位 | 4勝2敗で獲得 |
| 2011年 | 第52期王位戦 | 羽生善治二冠 | 敗れて失冠 |
| 2015年 | 第56期王位戦 | 羽生善治王位 | 1勝4敗 |
| 2018年 | 第31期竜王戦 | 羽生善治竜王 | 4勝3敗で獲得 |
| 2019年2月〜3月 | 第44期棋王戦 | 渡辺明棋王 | 1勝3敗 |
| 2019年 | 第32期竜王戦 | 豊島将之名人 | 1勝4敗で失冠 |
| 2020年1月〜3月 | 第69期王将戦 | 渡辺明王将 | 3勝4敗 |
| 2022年 | 第35期竜王戦 | 藤井聡太竜王 | 2勝4敗 |
| 2026年 | 第74期王座戦 | 伊藤匠王座 | 2勝2敗(10月27日に第5局) |
連盟の棋士データベースでは、タイトル戦の登場は8回と数えられています(第74期王座戦は進行中のため、終わったあとに数に入ります)。王座戦の五番勝負に出るのは、今回が初めてです。
2026年度の主な成績
| 棋戦 | 結果 |
|---|---|
| 第74期王座戦 挑戦者決定戦 | 藤井聡太六冠に勝って挑戦権を獲得 |
| 第74期王座戦五番勝負 | 伊藤匠王座と2勝2敗(第1局・第4局に勝利) |
| 第85期順位戦A級 | 3局を終えて2勝1敗(糸谷哲郎九段・千田翔太八段に勝ち、増田康宏八段に敗れる) |
王座戦の五番勝負は、9月2日の第1局(神奈川県秦野市・元湯陣屋)を勝ち、第2局・第3局を落としたあと、10月14日の第4局(ホテルオークラ神戸)に勝って2勝2敗に追いつきました。連盟の棋士データベースでは、2026年度の成績は11勝9敗(10月16日時点)です。
第85期順位戦A級の勝敗(10月16日時点)
| 順位 | 棋士 | 勝敗 |
|---|---|---|
| 1 | 糸谷哲郎九段 | 0勝3敗 |
| 2 | 永瀬拓矢九段 | 3勝0敗 |
| 3 | 豊島将之九段 | 4勝0敗 |
| 4 | 近藤誠也八段 | 2勝2敗 |
| 5 | 増田康宏八段 | 3勝1敗 |
| 6 | 佐々木勇気八段 | 2勝2敗 |
| 7 | 千田翔太八段 | 0勝3敗 |
| 8 | 佐藤天彦九段 | 1勝2敗 |
| 9 | 広瀬章人九段 | 2勝1敗 |
| 10 | 伊藤匠二冠 | 0勝3敗 |
日本将棋連盟の順位戦の表をもとに作成。「順位」は、前の期の成績で決まる期のはじめの序列です。A級は10人の総当たり(1人9局)で、2027年3月まで続きます。1位が名人への挑戦者になり、1位が並んだときはプレーオフで決めます。下位の2人はB級1組に下がり、同じ勝ち数なら順位が下の棋士が下がります。
次の対局とタイトル戦の日程
| 対局 | 対局日 | 会場 |
|---|---|---|
| 第74期王座戦 第5局 | 10月27日(火) | 常磐ホテル(山梨県甲府市) |
王座戦は持ち時間が各5時間の1日制で、その日の夜に決着します。第5局に勝てば、2019年に竜王を失って以来のタイトル獲得で、初めての王座になります。A級順位戦は2027年3月まで続き、1位になると名人戦で藤井聡太名人に挑戦します。大盤解説会の申し込み方は、タイトル戦の観戦の基本にまとめています。
王座戦第5局の1日の流れ
2勝2敗で迎える最終局は、あらためて振り駒をして先手と後手を決めます。王座戦は1日で決着するため、朝から夜までの流れを知っておくと、ネット中継や大盤解説会を追いやすくなります。
| 時間帯 | おもな出来事 |
|---|---|
| 朝 | 対局開始。立会人のもとで駒を並べ、振り駒で先後を決めます。 |
| 昼 | 昼食休憩(12時10分から50分間)。両対局者の昼食の注文が発表されます。 |
| 夕方 | 夕食休憩(17時から30分間)。持ち時間が少なくなってきます。 |
| 夜 | 終局。持ち時間を使い切ったあとは、1手ごとに秒読みで指します。 |
休憩の時刻は、王座戦の第71期以降の決まりです。終局後には、勝った棋士のインタビューと、両対局者による感想戦が行われるのが通例です。
あゆみ(年表)
- 2005年4月 四段(プロ入り)
- 2009年 第40期新人王戦で優勝
- 2010年 第51期王位戦で初タイトル(23歳)
- 2014年2月 八段
- 2018年 第31期竜王戦で竜王を獲得
- 2023年11月 九段
- 2026年 第74期王座戦の挑戦者に(挑戦者決定戦で藤井聡太六冠に勝利)
棋風・得意な戦法
若いころは居飛車と振り飛車の両方を指し、なかでも振り飛車の穴熊(とくに四間飛車穴熊)を得意にしていました。そのため「穴熊王子」「振り穴王子」と呼ばれた時期があります。
王位を失った2011年の七番勝負や朝日杯の決勝で、羽生善治さんに相穴熊で敗れたことや、将棋ソフトの研究が広がったことなどをきっかけに、指し方を変えていきました。いまは矢倉や角換わりなどの相居飛車が主戦場で、ほとんどの対局で居飛車を指しています。戦法を大きく切り替えながらトップに残り続けている点は、広瀬さんの特徴です。
豊島将之九段は、広瀬さんの人柄を「鷹揚」「おおらか」と話しています。本人も、普段から怒ることはないと語っています。棋界でも指折りの麻雀好きとして知られ、サッカーでは英プレミアリーグのアーセナルのファンだと公言しています。
よくある質問
広瀬章人さんは、いまタイトルを持っていますか?
2026年10月16日時点では持っていません。過去に王位(2010年度)と竜王(2018年度)を1期ずつ獲得しています。
王座戦の第5局は、いつ、どこで行われますか?
10月27日(火)に、山梨県甲府市の常磐ホテルで行われます。勝ったほうが第74期の王座になります。
「穴熊王子」とは、どういう意味ですか?
王様を盤の隅に固く囲う「穴熊」という囲いを、振り飛車で得意にしていたことから付いた呼び名です。いまは居飛車が中心です。
出身はどこですか?
連盟の表記は北海道札幌市です。生まれは東京都、育ちは埼玉県さいたま市で、小学生のころの4年間を札幌市で過ごしました。
竜王を獲得したのは、いつですか?
2018年の第31期竜王戦です。羽生善治竜王との七番勝負を4勝3敗で制しました。翌2019年の第32期竜王戦で豊島将之名人(当時)に敗れ、竜王を失っています。
A級順位戦には、何期いますか?
連盟の棋士データベースでは、A級の在籍は通算11期です。2026年度の第85期もA級で戦っています。
参考にした情報
- 日本将棋連盟 棋士データベース「広瀬章人」
- 日本将棋連盟 棋戦情報(王座戦・順位戦A級)
- ウィキペディア「広瀬章人」

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