永世竜王・永世棋王
渡辺明(わたなべ・あきら)さんは、竜王11期・棋王10期をはじめ、タイトルを通算31期獲得してきた九段の棋士です。竜王戦の9連覇はいまも歴代1位の記録で、永世竜王と永世棋王の資格を持っています。2025年度は途中から休場してA級順位戦からB級1組に下がりましたが、2026年度は復帰してB級1組で7戦全勝と、A級への返り咲きをめざしています。
※タイトルの期数・段位・今年度の成績は、日本将棋連盟の棋士データベースの表示(2026年10月16日に確認)によります。対局の勝敗だけを載せ、棋譜や対局の内容は載せません。
プロフィール
| 生年月日 | 1984年4月23日(42歳) |
| 出身地 | 東京都葛飾区 |
| 師匠 | 所司和晴八段 |
| 棋士番号 | 235 |
| プロ入り(四段) | 2000年4月1日(15歳・中学生棋士) |
| 段位 | 九段(2005年11月30日に昇段) |
| タイトル獲得 | 通算31期(竜王11期・棋王10期・王将5期・名人3期・棋聖1期・王座1期) |
| 永世称号 | 永世竜王・永世棋王の資格(名のるのは原則として引退後) |
| タイトル戦の登場 | 45回 |
| 棋戦優勝 | 12回(銀河戦4回、将棋日本シリーズ4回、朝日杯・NHK杯・大和証券杯・新人王戦 各1回) |
| 所属 | 竜王戦2組(1組以上19期)・順位戦B級1組(A級以上15期) |
小学1年のころ、アマチュア五段の父から将棋を教わり、小学2年で初段になりました。1994年、小学4年で小学生将棋名人戦に優勝し、同じ年に10歳で奨励会に入っています。2000年3月の三段リーグを13勝5敗の1位で抜け、4月1日に15歳でプロになりました。中学生でプロになったのは、加藤一二三さん・谷川浩司さん・羽生善治さんに続いて4人目です。
タイトル獲得の歴史
| タイトル | 期数 | 獲得した期 |
|---|---|---|
| 竜王 | 11期 | 第17期(2004年度)〜第25期(9連覇)、第28期・第29期 |
| 棋王 | 10期 | 第38期(2012年度)〜第47期(10連覇) |
| 王将 | 5期 | 第62期・第63期、第68期〜第70期 |
| 名人 | 3期 | 第78期(2020年度)〜第80期 |
| 棋聖 | 1期 | 第90期(2019年度) |
| 王座 | 1期 | 第59期(2011年度) |
20歳だった2004年に竜王を獲得し、そこから9期続けて守りました。2008年の第21期竜王戦で連続5期となり、初めての「永世竜王」の資格を得ています。2013年に森内俊之さんに敗れて竜王を失いましたが、2015年に糸谷哲郎竜王から奪い返しました。棋王戦では第38期から10連覇し、2017年3月に永世棋王の資格を得ました。
2020年8月には第78期名人戦で豊島将之名人を破って初めて名人になり、2021年・2022年は斎藤慎太郎さんの挑戦を退けて3期続けました。その後、2022年2月に王将、2023年3月に棋王、2023年6月に名人を、いずれも藤井聡太さんに明け渡し、約18年半ぶりに無冠になりました。王位と叡王は獲得していません。
2026年度の主な成績
| 棋戦 | 結果(10月16日時点) |
|---|---|
| 第85期順位戦B級1組 | 7勝0敗(13人の中でただ1人の全勝) |
| 2026年度の通算 | 11勝2敗(勝率0.846、勝率ランキング3位) |
2024年の暮れから、ひざの手術などのために休場した時期があり、2025年度の第84期順位戦A級は途中から不戦敗となって1勝8敗で終え、B級1組に下がりました。本人は2026年2月にXで、手術のあとも左足に違和感が残っていることと、復帰をめざす気持ちを明かしていました。2026年度は対局に戻り、ここまで大きく勝ち越しています。
第85期順位戦B級1組の勝敗(10月16日時点)
| 順位 | 棋士 | 勝敗 |
|---|---|---|
| 1 | 中村太地八段 | 2勝4敗 |
| 2 | 渡辺明九段 | 7勝0敗 |
| 3 | 大橋貴洸七段 | 4勝2敗 |
| 4 | 斎藤慎太郎八段 | 2勝5敗 |
| 5 | 服部慎一郎七段 | 4勝2敗 |
| 6 | 澤田真吾七段 | 4勝3敗 |
| 7 | 大石直嗣七段 | 1勝5敗 |
| 8 | 菅井竜也八段 | 3勝4敗 |
| 9 | 稲葉陽八段 | 3勝3敗 |
| 10 | 佐藤康光九段 | 2勝4敗 |
| 11 | 山崎隆之九段 | 3勝4敗 |
| 12 | 久保利明九段 | 3勝3敗 |
| 13 | 藤本渚七段 | 4勝3敗 |
日本将棋連盟の順位戦の表をもとに作成。B級1組は13人の総当たり(1人12局)で、2027年3月まで続きます。上位2人がA級に上がり、下位3人がB級2組に下がります。同じ勝ち数のときは「順位」(前の期の成績で決まる序列)が上の棋士が優先されます。
次の対局とタイトル戦の日程
2026年10月16日時点で、渡辺さんが出場を決めているタイトル戦の番勝負はありません。当面の中心はB級1組の順位戦で、残りは5局です。上位2人に入ると、2027年度の第86期からA級に戻ります。
渡辺さんが通算で多く獲得してきた竜王・棋王・王将は、どれも秋から冬にかけて番勝負が行われるタイトルです。2026年度の日程は、竜王戦(10月〜12月)・王将戦(2027年1月〜3月)・棋王戦(2027年2月〜3月ごろ)の各ページにまとめています。大盤解説会の申し込み方は、タイトル戦の観戦の基本をご覧ください。
棋風・得意な戦法
居飛車党で、居飛車穴熊から攻める将棋を得意にしています。自分の玉を固め、相手からは詰まない形(「ゼット」と呼ばれます)を作って攻めつづける指し方が多いとされます。終盤のねばり強さと逆転の多さから、大山康晴十五世名人にたとえられることもあります。
- 羽生善治九段は2008年の竜王戦のあと、渡辺さんの将棋について、現代的な情報処理の力の高さを評価する趣旨の発言をしています。
- 谷川浩司十七世名人は、渡辺さんが指した後手の急戦矢倉について、それによって戦法の評価が大きく変わったと高く評しました。
- 冬に行われる竜王戦・棋王戦・王将戦で長くタイトルを守ってきたことから、「冬将軍」とも呼ばれます。
本人がよく語っている趣味は競馬で、将来の夢として「馬主になること」を挙げています。プロ野球はヤクルトスワローズのファンで、ぬいぐるみを集めていることも公にしています。
よくある質問
渡辺明さんのタイトル獲得数は?
通算31期です。内訳は、竜王11期・棋王10期・王将5期・名人3期・棋聖1期・王座1期です。2026年10月16日時点では、タイトルは持っていません。
永世竜王とは、どういう資格ですか?
竜王を連続5期、または通算7期獲得すると得られる資格です。渡辺さんは2008年に、竜王を連続5期獲得して初めての永世竜王の資格者になりました。称号を名のるのは、原則として引退後です。
いまの順位戦のクラスは?
B級1組です。2025年度に休場があってA級から下がりましたが、2026年度は10月16日時点で7戦全勝で、A級に戻れるかどうかが注目されています。
中学生でプロになった棋士は、ほかにだれがいますか?
渡辺さんの前に、加藤一二三さん・谷川浩司さん・羽生善治さんの3人がいます。渡辺さんのあとには、2016年に藤井聡太さんが5人目の中学生棋士になりました。
竜王戦の9連覇とは?
2004年度の第17期から2012年度の第25期まで、9期続けて竜王を守った記録です。竜王戦の連続獲得としては、歴代1位です。
最後にタイトルを失ったのは、いつですか?
2023年です。3月に棋王、6月に名人を、どちらも藤井聡太さんに明け渡し、約18年半ぶりにタイトルを持たない立場になりました。
「冬将軍」とは?
竜王戦・棋王戦・王将戦など、冬に番勝負が行われるタイトル戦に強いことから付いた呼び名です。31期のうち26期が、この3つのタイトルです。
参考にした情報
- 日本将棋連盟 棋士データベース「渡辺明」
- 日本将棋連盟 棋戦情報(順位戦B級1組)
- ウィキペディア「渡辺明 (棋士)」「藤井聡太」

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