永瀬拓矢(ながせ・たくや)|タイトル獲得の記録・今期の成績・次のタイトル戦の対局日程

永瀬拓矢
A級・王将リーグで首位争い

永瀬拓矢(ながせ・たくや)さんは、叡王と王座を獲得した経験を持つ九段の棋士です。タイトル戦の登場は17回にのぼり、そのうち7回は藤井聡太さんとの番勝負でした。2026年春の第75期王将戦では、藤井王将を相手に第7局までもつれる勝負を演じています。2026年度はA級順位戦で3連勝、王将戦の挑戦者決定リーグでも3勝1敗と、ふたたびタイトル戦をめざす位置にいます。

※タイトルの期数・段位・今年度の成績は、日本将棋連盟の棋士データベースの表示(2026年10月16日に確認)によります。対局の勝敗だけを載せ、棋譜や対局の内容は載せません。

プロフィール

生年月日 1992年9月5日(34歳)
出身地 神奈川県横浜市
師匠 安恵照剛八段
棋士番号 276
プロ入り(四段) 2009年10月1日(17歳)
段位 九段(2020年10月14日に昇段)
タイトル獲得 通算5期(叡王1期・王座4期)
タイトル戦の登場 17回
棋戦優勝 3回(朝日杯将棋オープン戦・新人王戦・加古川青流戦 各1回)
所属 竜王戦1組(1組8期)・順位戦A級(通算5期)

横浜市の出身で、祖父から将棋を教わりました。小学6年だった2004年に関東の奨励会に入り、2009年度前期の三段リーグを14勝4敗の1位で抜けて、10月1日付でプロになりました。17歳0か月でのプロ入りは、三段リーグの制度ができてから4番目に若い記録とされています。2025年度の将棋大賞では、最多対局賞・最多勝利賞・敢闘賞を受けました。

タイトル獲得の歴史

初タイトルは2019年の第4期叡王戦で、高見泰地叡王に4連勝して獲得しました。同じ2019年の秋には第67期王座戦で斎藤慎太郎王座を3連勝で破り、二冠になっています。王座は4期続けて守りましたが、2023年の第71期王座戦で藤井聡太さんに敗れ、藤井さんの八冠達成の相手になりました。

タイトル 期数 獲得した期
叡王 1期 第4期(2019年、高見泰地叡王に4勝0敗)
王座 4期 第67期(2019年、斎藤慎太郎王座に3勝0敗)〜第70期。防衛の相手は久保利明さん(3勝2敗)・木村一基さん(3勝1敗)・豊島将之さん(3勝1敗)

2020年の第5期叡王戦では、豊島将之さんとの七番勝負が持将棋2局・千日手1局をふくむ長い勝負になり、叡王を失いました。

藤井聡太さんとの番勝負

2023年以降、永瀬さんのタイトル戦の相手はほとんどが藤井さんです。藤井さんのデビューのころから、2人で練習将棋(1対1で何局も指す「VS」)を続けてきた間柄としても知られます。

時期 棋戦 結果(永瀬さんから見て)
2023年9月〜10月 第71期王座戦 1勝3敗で王座を失う
2024年9月〜10月 第72期王座戦 0勝3敗
2025年1月〜3月 第74期王将戦 1勝4敗
2025年4月〜5月 第83期名人戦 1勝4敗
2025年7月〜9月 第66期王位戦 2勝4敗
2026年1月〜3月 第75期王将戦 3勝4敗

このほか2022年の第93期棋聖戦でも藤井棋聖に挑戦しており、その第1局では、千日手と指し直しが重なってタイトル戦で初めて1日に3局を指すことになりました。第75期王将戦は、挑戦者決定リーグを6戦全勝で勝ち抜いての挑戦でした。

2026年度の主な成績

棋戦 結果(10月16日時点)
第85期順位戦A級 3勝0敗(近藤誠也八段・伊藤匠二冠・佐々木勇気八段に勝利)
第76期王将戦 挑戦者決定リーグ 3勝1敗(藤本渚七段・近藤誠也八段・本田奎六段に勝ち、西田拓也六段に敗れる)

2025年度の終わりには、第84期順位戦A級で糸谷哲郎さんと7勝2敗で並び、プレーオフで敗れて名人挑戦を逃しました。第11期叡王戦の挑戦者決定戦でも斎藤慎太郎さんに敗れています。2026年度に入ってからは、連盟の棋士データベースで11勝6敗(勝率0.647、10月16日時点)と勝ち越しています。

第76期王将戦 挑戦者決定リーグの勝敗(10月16日時点)

順位 棋士 勝敗
1 永瀬拓矢九段 3勝1敗
2 西田拓也六段 1勝2敗
3 伊藤匠二冠 3勝0敗
4 近藤誠也八段 0勝3敗
5 郷田真隆九段 1勝2敗
5 藤本渚七段 2勝1敗
5 本田奎六段 1勝2敗

日本将棋連盟の王将戦の表をもとに作成。7人の総当たり(1人6局)で、1位が藤井聡太王将への挑戦者になります。永瀬さんの残りは、伊藤匠二冠戦と郷田真隆九段戦の2局です。

第85期順位戦A級の勝敗(10月16日時点)

順位 棋士 勝敗
1 糸谷哲郎九段 0勝3敗
2 永瀬拓矢九段 3勝0敗
3 豊島将之九段 4勝0敗
4 近藤誠也八段 2勝2敗
5 増田康宏八段 3勝1敗
6 佐々木勇気八段 2勝2敗
7 千田翔太八段 0勝3敗
8 佐藤天彦九段 1勝2敗
9 広瀬章人九段 2勝1敗
10 伊藤匠二冠 0勝3敗

日本将棋連盟の順位戦の表をもとに作成。「順位」は、前の期の成績で決まる期のはじめの序列です。A級は10人の総当たり(1人9局)で、2027年3月まで続きます。1位が名人への挑戦者になり、1位が並んだときはプレーオフで決めます。下位の2人はB級1組に下がり、同じ勝ち数なら順位が下の棋士が下がります。

次の対局とタイトル戦の日程

2026年10月16日時点で、永瀬さんが出場を決めているタイトル戦の番勝負はありません。注目は、王将戦の挑戦者決定リーグで全勝の伊藤匠二冠との直接対決です。リーグで1位になれば、3年続けて藤井王将との王将戦七番勝負に出ることになります。

局 対局日 会場
第1局 2027年1月11日(月)・12日(火) さんべ荘(島根県大田市)
第2局 1月23日(土)・24日(日) 伏見稲荷大社(京都府京都市)
第3局 2月2日(火)・3日(水) オーベルジュ ときと(東京都立川市)
第4局 2月15日(月)・16日(火) 温泉旅館矢野(北海道松前町)
第5局 3月6日(土)・7日(日) 掛川城二の丸茶室(静岡県掛川市)
第6局 3月18日(木)・19日(金) ホテル花月(栃木県大田原市)
第7局 3月30日(火)・31日(水) 将棋会館(東京都渋谷区)

第76期王将戦七番勝負の日程です(挑戦者は未定)。七番勝負は、どちらかが4勝した時点で終わります。

A級順位戦で1位になると、2027年春の第85期名人戦で藤井名人に挑戦します。大盤解説会の申し込み方は、タイトル戦の観戦の基本にまとめています。

棋風・得意な戦法

いまは角換わりを中心にした居飛車党で、振り飛車を相手にするときは居飛車穴熊などの持久戦を選ぶことが多い棋士です。デビューのころは三間飛車を指す振り飛車党で、2012年ごろに居飛車へ切り替えました。振り飛車のころは、受けの強さから大山康晴十五世名人になぞらえられたこともあります。

  • 千日手(同じ局面のくり返しによる指し直し)をいとわない時期があり、千日手になる回数がとても多い棋士として知られています。
  • 練習の量で知られ、「軍曹」というあだ名があります。本人はこの呼び名に、階級を上げられるよう頑張りたいとコメントしました。
  • 「負けない将棋」「受け将棋」と言われることについて、本人は、それは昔の話で、いまは攻める将棋だと思っていると話しています。
  • 持論は「将棋は才能ではなく努力」で、練習量は裏切らないとも語っています。

研究仲間の鈴木大介九段について、永瀬さんは自分の棋士人生をもらった人だと感謝を口にしています。趣味は漫画を読むことで、週刊少年ジャンプを長年買い続けていると話しています。

よくある質問

永瀬拓矢さんがこれまでに獲得したタイトルは?

叡王1期(2019年の第4期)と、王座4期(2019年度の第67期から第70期まで)の、合わせて5期です。

藤井聡太さんとのタイトル戦は、何回ありますか?

第93期棋聖戦、第71期・第72期王座戦、第74期・第75期王将戦、第83期名人戦、第66期王位戦の7回です。2026年の第75期王将戦は、3勝4敗で第7局までもつれました。

「軍曹」と呼ばれるのは、なぜですか?

研究熱心で練習量の多い永瀬さんの姿勢を表すあだ名として、ファンや報道の間で広まっています。本人もこの呼び名について、階級を上げられるよう頑張りたいと前向きにコメントしています。

2026年度は、タイトル戦に出られそうですか?

10月16日時点で、王将戦の挑戦者決定リーグは3勝1敗、A級順位戦は3勝0敗です。リーグの残り2局、A級の残り6局の結果で決まります。

参考にした情報

  • 日本将棋連盟 棋士データベース「永瀬拓矢」
  • 日本将棋連盟 棋戦情報(王将戦挑戦者決定リーグ・順位戦A級)
  • ウィキペディア「永瀬拓矢」「王将戦」「名人戦 (将棋)」

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